AI ロボットは人から雇用を奪うのか?

「AI(人工知能や拡張知能)が雇用を奪う」「自動化が発達したら、人間の仕事がなくなる」そんな危機感をあおるような話が度々持ち上がるけれど、その恐れは少し緩和されるかもしれない。PwC が2018年7月に発表したイギリスの経済に関するレポートによると、今後20年間においてAIや自動化が正味(ネット)で奪う職の数は限定的だと結論づけている。

このレポートでは AI による雇用の喪失だけではなく、創出に関しても分析をしており、20年後の2037年までの産業分野別の雇用への影響を予想している。AIは2037年までにイギリスで717万の職を生み出すことに繋がるといい、これは消滅すると思われる700万の職と比べても17万のプラスである。産業によって雇用へのプラス効果・マイナス効果はあるものの、イギリス全体としてはほぼ中立だという結論だ。

PwCではイギリスの製造業のうち、実に4分の1が自動化により職にあぶれる可能性があると予想。 (Image credit: PwC)

 

各国での雇用がいかに影響を受けるかは、経済の産業構成や労働人口の特徴にもよる。例えば、製造業や小売業、輸送業といった業界では懸念通りに人間がロボットに置き換えられていくと思われるが、ヘルスケアや科学関連、教育などといった分野では、逆に人でないとできない新しい役職が生み出されることが予測される。

以前に同じくPwC が発表した2018年2月の「我々の職は本当にロボットに奪われてしまうのか?」と題されたレポートでは、日本を含むOECD加盟国を中心とした29カ国が調査対象となった。このレポートは雇用の創出の分析はせず、雇用の「喪失」に関してのみ調べているので、前述のイギリスに関する分析のように正味(ネット)での雇用増減は結論づけられていないこと、そして前述の調査とは期限(2030年)が異なっていることに注意が必要だ。そしてその雇用「喪失」に関しては、「2030年までに自動化される職の割合は、フィンランドや韓国では22%に過ぎないが、スロバキアでは44%にも上るはず」と予想している。

This chart shows Countries with similar labour market performances and economic structures have broadly similar levels of potential automation. Four broad country groups emerge: a) Industrial economies with relatively inflexible labour markets, which could see the highest automation rates; b) Services-dominated economies such as the US and the UK with long tail of lower skilled workers and intermediate levels of potential automation; c) Nordic countries with high employment rates and skill levels and relatively low levels of potential automation; and d) East Asian nations with high levels of technological advancement and education, which could see high short term automation rates in some sectors but lower longer term impacts. (image credit: PwC)

その中で、日本への影響はどのように予想されているのか。下記のインフォグラフィックが2030年時点での日本への影響の詳細な予想で、24%程度の仕事が自動化される可能性があるという。これは調査対象29カ国中、比較的影響が小さいほうだ。興味のある人は、国・産業・男女・教育水準・短中長期などへの影響を、下記サイトで比較することができるので参照してみては如何だろう。

How will automation impact jobs?

もちろんこのようなレポートは、大まかな方向性を把握するには役立つが、実際に自分の仕事が奪われる心配のある人にとっては何の慰めにもならない。だからこそ、レポートを読んで悩みを深めたりするよりも、「自分の仕事は AIよりも上か下か」ということを個人がじっくり考え、みんなが協力し合い、これからの時代に訪れる変化に先立って準備を進めねばならない。そうすることで、ロボットが仕事を奪いにきたとしても、その頃には我々は既に一歩先の未来へと歩を進められているはずだ。

AI expected to be a net job creator in the U.K. and beyond 抄訳