顔認識技術を取り締まる規則は必要か?

顔認識技術の精度は日に日に増し、その便利さとセットで、誤用の恐ろしさと対策にも注目が集まっている。

ここ数ヶ月のニュースでも、米アマゾンの顔認識技術が政府機関に使われることに対し、同社の社員や市民団体が反対運動を起こしていると報道された。監視や差別につながるとの懸念からだ。また、グーグルの社員がドローン監視を目論むアメリカ国防省に対してAIを提供するのをやめるよう働きかけたり、移民税関捜査局に自社のAI技術が使われていることに不満の声をあげたマイクロソフト社員の行動なども確認されている。

シリコンバレーには、昔から政府との密接なつながりがある。初期のテック系企業は宇宙開発プログラムとの縁があったし、現在に至っても選挙やヘルスケア、教育など様々な分野で結びついている。

それにも関わらず、今回いくつかのシリコンバレーを代表する企業で大きな拒絶反応があったのは、AI を使った顔認識という新技術によって個人が特定されることが理由だ。非常に強力で個人のプライバシーを侵害し得る技術だから、抵抗感も大きくならざるを得ない。

顔認識の技術が及ぶ範囲は、iPhone 10をアンロックするようなシンプルなものから、セキュアな仕事場へのアクセス制限、犯罪者の逮捕といった活用法まで幅広い。

例えば、監視カメラと合わせて使った場合にデータが悪用される可能性は? 位置情報のデータ収集と顔認識技術の組み合わせはどうだろう? 使われ方によっては、個人のプライバシーなんて全くなくなってしまうかもしれない。

新技術が急速に発展を遂げるケースによくあるように、規則が追いついていないのが、顔認識技術を取り巻く状況である。悪用を禁止・回避するためのGDPR(EU一般データ保護規則)のような規則はないのが現状だ。アメリカでは個々の会社に判断が任されている。

どうしても技術ばかりが話題として取り上げられがちだが、それよりも活用法や技術が解決する問題、そして逆に技術の利用によって生み出される別の問題に着目すべきではないだろうか?

会社の規則や人権、開発中の技術とそのもたらす利益。アマゾンやグーグル、マイクロソフトといった大企業での抗議運動は、様々な要素が絡み合う中でのせめぎ合いが表面化したものだ。IT企業は、社員の反対意見に後手を踏み、個々に対応している場合じゃない。

顔認識技術に関して、今こそ公式な規則を作るべき時なのかもしれない。この新技術で何が可能になるのか、まだほんの触りしかわかっていない今日。これからどういった場面で、どこまでどのように技術を活かすべきなのか、そして制限すべきなのか? 社会の一員としての我々の正しい行動が、世界の運命を握っている。

Do we need a GDPR for Facial Recognition? 抄訳