シリコンバレーの醜い一面 / ダイバーシティは誰のため?

最近は日本でも、「ダイバーシティ」という言葉を聞く機会が増えたように感じる。女性登用に限って使われることも多いが、「多様性」が企業や社会に活力をもたらすことをようやく認識しはじめたのも理由の一つだろう。

一方、「人種のるつぼ」であるアメリカはどうか。もちろん人種・国籍・言語・文化の面ではるかに日本よりも「多様」なのだが、実際には個々人の多様性は必ずしも尊重されず、社会にも充分に受け入れられていないのが現実だ。「ダイバーシティ」と対になって語られるべきこの「インクルージョン」の問題は、アメリカで、そしてシリコンバレーでも長らく社会的・文化的・政治的な課題となっているが、依然としてその克服からは程遠い。

その惨状を明らかにするかのように、シリコンバレーのテック系大企業177社を対象に集めたデータが発表された。

2016年に黒人女性を1人も採用しなかった会社数: 10

黒人社員が1人もいない会社数: 3

女性役員が1人もいない会社数: 6

Here’s the clearest picture of Silicon Valley’s diversity yet: It’s bad. But some companies are doing less bad, by Reveal from The Center for Investigative Reporting

このレポートを作成した Reveal は手厳しい。つまり、多様性のある採用や社員構成を達成できない理由として、「必要な条件を満たす(マイノリティの)人材がいない」といった言い訳を理由とする企業は大いに批難されるべきだと主張している。多様性は一過性の施策ではなく、企業文化の一部でなければならないものだし、採用は家系や学歴でなく、真の才能を見て決めるのが本来のやり方だというのだ。

記事中のカーラ・モンテロッソいわく、「”スタンフォード大卒”はスキルじゃないし、”MIT卒”も”ハーバード卒”もスキルじゃない。有名大卒業者を「一流」の社員とならしめるスキルが一体何なのかは、いまだに解明されていない(つまり、根拠はない)」と。

フェイスブックは多様化をよく売りにしているが、実は中身が伴っていないと指摘されている。先ほどのデータでも、調査対象のうち半分以上の91社が、フェイスブックよりも多くの黒人やラテン系を役員やマネージャーとして雇用している。

フェイスブックのダイバーシティ担当者は、こうブログで書いた。「テクノロジーを含むあらゆる産業で人材の多様性が実現されるためには、公的な教育機関によってより多くの人がスキルを身につけることが必要だ」と。多様性の欠如を説明するのによく使われる、「パイプライン(不足)」問題を言い訳にしているのだ。白人男性以外には、金銭的な問題などから”良い”教育を受けることができない人が多い、だから採用が偏るのは必然とでもいうように。

そもそもダイバーシティに関しては、透明性が欠如していることも大きな問題だ。アメリカでは人種や性別、職種の報告が企業に義務付けられているにも関わらず、この数値を公開している会社はほんの一部に過ぎず、オラクルなどにいたっては、企業秘密として頑なにデータの公開を拒否している会社もあるという。

Airbnb や Paypal など、他企業と比べてマシな会社もいくつか存在する。これら業績的にも優良な会社の多くは、企業のコアな原則としてダイバーシティを掲げていることが見受けられる。これは、ダイバーシティは道徳的責任を果たすのみならず、究極的には企業収益にも貢献し得るという証拠を示唆するものだと Reveal は主張している。少なくとも、ダイバーシティと収益性は、充分に両立し得ると言えるだろう。

元データ掲載レポートはこちら: Here’s the clearest picture of Silicon Valley’s diversity yet: It’s bad. But some companies are doing less bad (Reveal)

The ugly details of Silicon Valley’s diversity problem 抄訳